相続人が海外にいる場合(遺産分割協議書の署名捺印はどうするの?)
遺言がない場合、相続人全員で亡くなった方の遺産をどのように相続するかを話し合って決定し、「遺産分割協議書」という書類を作成する必要があります。この遺産分割協議書がないと不動産の名義変更や預貯金の解約などを行うことができません。
遺産分割協議書には誰かどの財産を相続するかの内容を記載し、相続人全員が署名捺印(実印)し、印鑑証明書を添付する必要があります。実印と印鑑証明書により遺産分割協議書に押印したのは本人で間違いありませんという証明になるわけです。
ところが、相続人が海外にいる場合はどうでしょう?
印鑑登録は日本に住民登録がある人しかできない為、海外に住所を移転すると印鑑証明書を発行してもらうことができません。
そこで印鑑証明書に代わるものとして「サイン証明書」があります。
サイン証明書は「このサインは、この人が書いたもので間違いありません」ということを公的な機関が証明してくれるもので、印鑑証明書に代わるものです。
サイン証明書は、現地の日大使館又は領事館で取得します。
米国など、国土が広い国では住んでいる場所から日本大使館や領事館が遠い場合があるため、書類の不備などで何度も足を運ぶことがないように必要書類などをしっかり確認してから出向くようにしましょう。
相続人が海外にいる場合は遺産分割協議や相続手続きに通常よりも時間がかかる場合が多いです。
相続税の申告がある場合は亡くなってから10ヶ月以内に申告納税しなければならないため、なるべく早めに相続手続きをスタートした方がよいと思います。